腕の中の小さな存在が物言いたげに俺を見る。 分かってるよ、俺だって。 気付いていないわけじゃない。 ―――――だけど、どうすりゃいいんだよ? 困惑・疑問俺とセナが付き合うようになって、三人でつるんでる時間が減った。 減ったってのは、セナと二人の時間が増えたって意味じゃなくて、どちらかというと四人でとかアメフト部の連中で居る時間が多くなったってことだ。 俺達三人の関係は何も変わっていない。 そう、 気付いてないわけじゃなかった。 だけど、「まさか」って思ったのも事実。 なぁ、黒木。お前はいつから一人でそんな想いを抱えてたんだ? 「あー、負けた!」 「へっ、へっー!俺に勝とうなんざ甘いっての!」 練習の帰り道、いつものようにトガん家で溜まってる。 別に目的なんて何もなくて、ただゲームしてアメフトの話して、くだらないことして騒いでるだけ。 今日はセナも来ていて、さっきから黒木にゲームで負けっぱなし。 その様子を見て戸叶が漫画から顔を上げた。 「弱いな、セナ」 「はっはっは!!これで5勝0敗!」 「セナ、ちょっと貸せ。俺が仇とってやる」 「はぁああ!?つかなんでトガがセナの味方なんだよ! 十文字は当然セナ側なんだから、トガは俺につけよなー!」 「は?別に俺はどっちの味方でもねー。ほれ、対戦すんぞ」 「ちぇー。よし!負けたら、コンビニまでパシリな!」 事実に気付いていなければ、なんでもない会話。 けれど俺は、その会話の中に際どい言葉を見つけてしまう。 隠された、黒木の想い。 きっとセナもそうなんだろう。黒木と戸叶の間で困ったように笑ってる。 「セナ」 「ん?なに?」 そんなセナを小声で呼び寄せて隣に座らせる。 二人はゲームに集中してるから特に気付く様子もない。 「なぁ、どうなってんだ・・・・あの二人?」 「どうって・・・どうにもなってないと思う」 「トガって・・・・イマイチわかんねぇんだよな。何考えてるか」 「あ、やっぱり十文字君もそう思う?」 「ああ。黒木は丸分かりなんだけどなぁ」 「あははっ;;」 『WIN!』っと機械の声が聞こえて、画面を見ると黒木が負けていた。 有り得ねぇー!とバカが頭を抱えて叫んでる。 まぁ、俺達の中で一番ゲームが得意なのは黒木だから勝てると思ってたんだろう。 このゲームも元々黒木が戸叶の家に置いていったもんだ。 「さっき、なんつったかな?パシリか。俺、サンデーと焼きそばな」 「かぁー!なんで負けるんだよ、畜生!」 「ほれ、さっさと行け。そこの二人、黒木パシッていいぞ」 戸叶のが再び読み掛けの漫画を開いて俺達に言った。 なんだかんだ言っても黒木は約束は守るらしく、立ち上がって玄関へ向かう。 「じゃあ俺、冷やし中華。セナはどうする?」 「え?ええと、僕・・・・」 「セナー!一人じゃ寂しいから一緒に行こうぜ!なー?」 「ハ?ガキかお前は」 「ガキだもんよ。な、セナ、行くよな!」 「あ、うん。じゃあ・・・・行って来るね?」 「かぁーーー!!なんでそこで十文字の許可取んだよ!そんなもんいらね、つの!」 「ぐだぐだ言うな、さっさと行け」 戸叶がしっしっと手で黒木を追い払う。 黒木は拗ねたようにセナの手を掴んで玄関を開けた。 「じゃあ行って来ます」と手を振るセナに頷いたところでドアが閉まった。 戸叶と二人きりになる。 もしかしてこれは・・・・・チャンスか? 「なぁ、戸叶」 壁に背を付けてペラペラとページを捲る戸叶に話しかけた。 「あー?」 気のない返事が返って来る。 「お前ってさ、好きなやつとかいんの?」 「・・・・・・・・・ハ?」 考えればこんな話を戸叶とすんのは初めてだ。 柄にもなく緊張して、少し汗を掻いた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 次回は戸叶さん&十文字の攻めキャラ対談と 黒木&セナの受けコ対談。こういうシチュエーション好き(笑) 戸黒同士カモーン!!もっと戸黒スキーさんと交流したいよ!(号泣) |