咲いている華よりも散る華が美しいと思うのは







いつ散るやもしれぬ恋に溺れているからか。









永久に咲く華の名は













熱に溺れる。

情交の途中、汗ばむ男の身体に足を絡めながらふと思う。





この熱はいつまで熱いのだろう、と。






熱いものはいつか冷める。

火が燃え上がれば煙となりやがて見えなくなる。

咲いた華は必ず散る。







月に数度の逢瀬の最中、最近ではその『散る』瞬間にひどく脅えている自分がいる。







熱に溺れ、そして冷める。

その瞬間が来ることがなにより恐ろしいことを、

貴方は知っているのでしょうか。








さん、」

「又市さん――――」





身体の奥を熱で貫かれながら、その熱を放したくないと思う。

カラン・コロン、となるのは夏に貴方がくれたお土産の風鈴。

何処のお土産なのか、それすら教えてはもらえなかったけれど。

荒んだ仕事の途中、少しでも自分を思い出し、買ってきてくれたことが何より嬉しかったから。






「良い音色・・・・・」

さんの音色も聞かせちゃくれませんか――――」





私が吐いた息を飲み込むように、深い口付けをして。

声音そのものを吸い込んで、何もかも貴方のものになる。









「ああ、綺麗でさァ」

「・・・・え?」

「月が、丸々でやすよ。勿論さんには及ばねェが―――・・・」






口端をニヤリと吊り上げて、身体の中で熱を放つ。

その熱を逃がしたくなくて、ずっと感じていたくて。

又市の首に縋り付いて、口付けを乞う。








・さん?」

「又市さんは月のようですね――――」

「奴が・・・・ですかい?」

「どんなに捕まえようとしても、捕まえられない」

「そんな事ァ――――御座いやせんよ」






又市自身がずるりと引き抜かれる。

その余韻に喘ぐように声を発すると、又市は目を細め哂った。







「奴はいつだって、この檻に捕えられてるってのに」

「ん・・・・」

「それでもまだご不満で?」






己の唇をぺロリと舐めて又市は言った。

卑猥な仕草に冷めていない熱が再び上がり始めるのを感じる。

随分と短くなった蝋燭の火が頼りなさげに風に揺れて、二人の影を映し出す。









ゆらゆらゆらゆら









折り重なった二つの影がまるで化け物のように揺らめいて、

それが少し怖くて、又市の胸板に顔を埋めた。







さん、なんなら奴を喰ってみちゃ―――如何です?」

「え?」

「あんたがあんまり可愛いことをなさるから・・・・」






そう言って又市が下肢をの腰に押し付ける。

今さっき果てたモノが、再び反り上がっている。

の右腕を掴んでそれを握らせると、耳元で








「偶にはあんたに喰われてみてぇ―――――」









そう、至極低い声で呟かれた。

















冷めない熱はなく、

散らぬ華は無い。



けれど、燃やし続けることの出来る炎がたった一つだけ在るかもしれない。









欲望という名の果てない人の醜い願望。

それは時として妖となって、人を      襲う。












私は躊躇無く、又市のソレを口に含んだ。


















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ごごご、ごめんなさい。
なんかもう又市じゃエロしか書けない気がする(ゥオイ!)
55555HITリクで緋雨様に捧げます。