学校行って第一声が



「やっぱ不二家か?」

「せめてコンビニにしてやれ」




「ハァ?」





お前らなんの相談だ?






誕生日に用意するもの:一輝編












「練習終わりーー!!」





聞きなれた笛の音。聞きなれた喧騒。

鈴音とマネージャーが持ってきたタオルを一枚受け取り、汗を拭く。

いつの間にか馴染んでしまった光景。







「十文字、今日うち寄るだろ?」

「あ?ああ・・・」





1リットルのペットボトルを飲んでいると、戸叶がその横に腰掛けた。

貸せ、との仕草に渡してやると全く遠慮無く飲み始める。



「トガ!俺も〜〜〜」



汗臭さに耐えられなかったのか、練習着を脱いで上半身裸の黒木が間に飛び込んできた。

戸叶からペットボトルを奪うと、これまた遠慮なしに飲み始める。




「お前ら、全部飲むんじゃねぇ!!」

「けちけちすんなよ〜」

「お前のモンは俺らのモンだろ」

「なんの理屈だ!!」

「え、知らねぇの、ドラ○もん」

「カッカッカ、だせぇな」

「そうじゃねぇだろうが!」





結局空になったペットボトルだけが返ってきて溜息をつく。

練習でクタクタになった身体はまだまだ水分を欲してる。

水道の温い水を飲む気にもならず、仕方なく部室へ足を向けた。






「さっさと着替えて帰んぞ」

「おー、そうだな」

「じゃ、行くか」






汗まみれの身体を引きずって、シャワー室へ入る。

三人並んでそれぞれ個室へ入ると、シャワーのコックを捻った。






「ふぅ」





泥と汗がシャワーで流されていくのを感じて、息を吐いた。

ケンカでも付かなかった筋肉でいつの間にか腹筋が六つに割れている。

基礎トレーニングできっちりと作られた身体を見るのは気分がいい。

アメフトを始めてからは喧嘩ご法度だったが、今なら誰にも負けない気がした。





「十文字ーー、そっちに石鹸あるかー?」



ふいに右隣の黒木の声が聞こえた。


「おお」


個室の壁の隙間から石鹸を投げてやる。

「おー!」と声が聞こえた。どうやらうまくキャッチしたようだ。




「お前ら、遅ぇ」




もう終わったのか、戸叶が個室から出てきた。

腰にタオルが巻かれているその腹はやはり六つに割れている。

元々一番体格の良い戸叶は何気に俺達の中で一番喧嘩が強い。





「戸叶、後で腕相撲しねぇ?」

「ハ?別にいいけどよ」

「んだよ、俺も混ぜろよ!!」

「じゃ、久々にランキング戦といくか?」

「おう!今ならお前ら倒せんぜ!!」




中学の時ランキング戦をして負けっぱなしだった黒木が意気揚々を声を上げる。

そのままの勢いでシャワー室から出て着替える。





「じゃ、帰るか」

「その前にコンビニな」

「なんだよ、今日は何立ち読みする気だ?」

「違ぇよ。お前、今日何の日だか忘れてんな?」

「ハァ?」





戸叶の言葉に携帯の日付を見る。

黒木がニヤニヤ笑ってんのがやけにムカつく。


十月一日・・・・・・・








「あぁ・・・」

「思い出したかよ!!」

「あー、一応な」

「カッカッカ」






要するに、朝の会話はアレか。






「黒木、不二家のケーキは食わねぇぞ」

「あー?なんだよ、人がせっかくー」

「お前さえ食わない甘ったるいケーキを俺に食えってのか?」

「俺らの愛が受け取れねーってか?」

「戸叶、気持ち悪ぃこと言うんじゃねぇよ」

「んじゃ、まぁコンビニのケーキで許してやっか」






ゲラゲラと親友二人の笑い声が部室に響く。

その前に腕相撲の決着を付けようぜ、と黒木がカジノテーブルに肘を付いた。






誕生日なんて無いも当然だった昔が嘘のような、こいつらと過ごす三回目の誕生日。

今年もまた、バカ騒ぎでその日が過ぎる。








「おー、三兄弟!面白いことやってんなぁ!!」

「ハァア?よし猿!!お前も混ざれ!こうなりゃアメフト部総当り戦だ!」

「んじゃ、当然セナも参加だよな!」

「ええ!?ちょ、モン太!」

「フゴ!」

「おー、フゴデブも混ざるか!?テメーにゃ絶対ェ負けねぇ!!」

「フゴゴ!!」









いつの間にか増えた仲間と共に。










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シャワー室三兄弟をもっと書きたかった。いずれまた。
戸叶さんからの愛なら滑り込んででも全力で受け取りますが(私が)